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消化器内科(肝臓がん治療)

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肝臓がん治療 動注リザーバーによる肝動注化学療法

動注リザーバーとは

通常行われている抗がん剤治療は、内服(飲み薬)あるいは注射(静脈注射・点滴)によって薬を投与します。これは抗がん剤治療として一般的に知られている治療方法ですが、全身に抗がん剤が投与されることになり、副作用を引き起こす可能性も高くなります。一方、このページで紹介してある「動注リザーバー療法」という治療方法は、カテーテル(細い管)をがんの近くにある血管まで挿入し、「リザーバー」という小さな器具と接続することで、がんに直接抗がん剤を投与することができます。皮膚の上から針を刺すだけで、がんの近くから薬を投与するので、全身に抗がん剤を投与することと比べて、何倍もの濃い抗がん剤が作用することになります。また、全身に流れる抗がん剤の量が少なくなるので、副作用も少なくてすむことが期待できます。

動注リザーバーのポイント

  • 代表的なものとして、肝臓がんに対する治療として用いられています
  • 入院せずに、外来通院で行うことが可能です
  • リザーバーを埋め込んだあとも日常生活を送る上での支障は特にありません
  • 副作用としては、リザーバーの埋め込みは小さな手術のようなものなので、出血や感染といった合併症を引き起こす可能性が考えられます(ただし、頻度はまれであり、症状も軽度であることがほとんどです)
  • 細い管を皮下に埋め込み薬を投与するので、大きな傷になりません

動注リザーバー留置法

選択的にカテーテル先端を腫瘍部位へ近づけ、ピンポイントに抗がん剤を投与できる治療法です。抗がん剤による肝臓への負担を軽減できます。

皮下に埋め込まれた注入アダプターよりマイクロカテーテルを挿入し、治療が必要な動脈にその都度選択的に挿入して治療を行います。

Low dose FP療法(肝動注化学療法)

Low dose FP療法(肝動注化学療法)とは、入院中に15回CDDP(シスプラチン)と5FU抗がん剤を動注する治療法です。入院治療終了後は反応が良ければ外来で動注療法を継続いたします。シスプラチンと5FUは Biochemical modulation として相性が良い薬剤です。

Low dose FP 療法の著効例をご紹介します。 進行肝細胞がんStageⅣA(AFP:6232ng/ml、PIVKA-Ⅱ:1046mAU/ml)、1998年7月来院時は下記CT画像の状態でしたので、左上腕動脈より右肝動脈投げ込み型にて肝動脈リザーバーを留置し、Low dose FP 療法を開始しました。




治療開始後1か月で腫瘍マーカーがほぼゼロまで下がりました(CR)ので外来にて動注療法を継続後、リザーバーを抜去できた症例です。Low dose FP 療法が著効した症例で、10年以上たった現在も外来にて通院中です。


382例のLow dose FP 療法の治療効果です。


Low dose FP 療法の有効性が消失したと判断した時点で、

  • 1)CRならリザーバー抜去
  • 2)PRで残存が局所療法可能なら局所療法+リザーバー抜去
  • 3)PDかNCもしくは、PRで残存が多い場合は、second line 治療へと移ります。

※上記は平成23年7月29日第47回日本肝癌研究会ランチョンセミナーで使用した内容です

StageⅣ治療成績

1997年1月から2005年9月までの期間に動注リザーバー療法を行った肝細胞癌382例のうち、StageⅣ(StageⅣbは肝内の病巣のみ評価)の171例の生存曲線を示します。【 図1 】
StageⅣが2割強を占めていたにも関わらず、奏効率は2011年6月現在までで47.4%、CR率8.2%で、12.3ヵ月の生存期間中央値(MST)が得られています。このうちChild-Pugh Aの76例でMSTは17.5ヵ月であり【 図2 】、同じChild-Pugh Aを対象に行われたソラフェニブの SHARP srudy(ソラフェニブのランダム化比較試験)のMST10.7ヵ月と比較しても、動注リザーバー療法は遜色ないMSTが得られています。さらにStageⅣb(12例)のMSTは11.3ヵ月 でした。【 図3 】

【 図1 】


【 図2 】


【 図3 】

382例中、20世紀(1999年12月31日以前まで)に動注リザーバー療法を導入したのは137例で、MSTは27.5ヵ月でした。このうち2011年6月までに5例の生存が認められているため10年生存率は3.64%と算出されます。生存中の5例にはStageⅢ~Ⅳa、Ⅳbや腫瘍占拠率30%以上の進行がんも含まれており、かなり進行したがんでも著効を示し、3~4%の割合で長期生存が得られるということが考えられます。

特殊リザーバー システム-i

これまで多くの症例に動注リザーバー療法を施行し、ある程度の治療成績は得ているものの、例えば最大腫瘍径が80mmを超えるような巨大肝癌は可能であれば腫瘍減量術を先行すべきと考えますが、中には外科的アプローチが困難な場合もあります。
そこで、当院では2000年に「システム-i 」というオリジナルのリザーバーを考案いたしました。システム-i は皮下埋め込み式リザーバーですが通常のリザーバーとは異なり、留置されているカテーテルの中にもう一本マイクロカテーテルを挿入できることが特徴です。逆流防止弁付注入アダプターを導入しており、システム-i-1とシステム-i-2の2タイプがあります。【 図1 】

【 図1 】

システム-i-1は右もしくは左の大腿から肝臓内にカテーテルを留置してside hole(サイドホール)を開け、マイクロカテーテルを side hole から留置カテーテルの外に出し、選択的に目標部位に薬剤を投与します。ピンポイントの薬剤投与が可能なため、著しく肝機能が低下する巨大肝癌でも治療可能となりました。
システム-i-1をバージョンアップさせたのがシステム-i-2です。【 図2 】システム-i-1 はカテーテルを肝臓内に留置するため、リプレイスの肝動脈には使用できない場合がありました。
システム-i-2 では左の上腕からカテーテルを挿入して大動脈内に留置させ、胸部付近で留置カテーテルに side hole を開けてマイクロカテーテルを出し、ガイドワイヤーを使ってリシェイプしながらマイクロカテーテルを肝動脈の中に導きます。これにより腹部大動脈から枝分かれしているあらゆる動脈の深部までマイクロカテーテルを挿入することができるようになりました。
リザーバーを駆使した治療により、動注リザーバーが無効であった症例でCR(完全寛解)を得たり、30㎝以上もある巨大肝癌で縮小傾向を認めた症例を経験しています。
その後2004年にはシスプラチン動注製剤アイエーコール®が発売され、治療成績が向上しました。当院では腫瘍占拠率の高い塊状型肝癌などの症例には、手術に先行してアイエーコール®とシステム-i を組み合わせた治療を行っており、その有用性に手応えを得ています。

【 図2 】

【システム-Iによりピンポイントで腫瘍部位に薬剤投与が可能となりました】

システム-i の最大の利点は、治療が必要な動脈への選択的な治療(TAEや動注療法)を外来通院で何回でも行えることです。このシステムにより通常のリザーバーでは困難であった治療も可能になりました。

巨大肝細胞がんに対する頻回分割的動注塞栓療法

通常の肝動脈リザーバーによる動注化学療法では治療効果の低かった巨大肝がん(腫瘍径8㎝以上)に対して、システム-iによるTAEを中心とした分割治療を行っています。選択的治療のため肝機能が悪い症例にも治療が可能です。

巨大肝細胞がんに対する頻回分割的動注塞栓療法

12回のシステム-i治療

2006年9月初診、腫瘍径9㎝の肝細胞がんの男性です。黄疸が認められ肝機能が悪いため、他院では治療が不可能と診断され当院を受信しました。システム-iにより12回の治療で写真のように腫瘍は縮小しました。現在(2008年10月)も外来通院中です。

※上記は平成23年7月29日 第47回日本肝がん研究会 日本化薬株式会社共催 ランチョンセミナーにて使用した内容です。

システム-i 治療成績

  • 2000年1月以降、最大腫瘍径6cm以上でCT上の腫瘍占拠率30%以上の肝細胞がん16例に対して、システム-i を用いた治療を行っています。
  • 16例中、腫瘍の大きさが50%以下になった症例は13例(81.25%)
  • 50%生存期間は22か月。生存率は1年:81.2%、2年:45.9%、3年:19.0%となっています
60歳 女性 大腸がん肝転移

他院で約1年間全身化学療法を施行され肝転移が増大してきた症例でしたが、左上腕から留置した肝動脈リザーバーから約2ヵ月間動注療法(GEM-FP療法)を行い肝転移は縮小を認めました。

進行性大腸がんの標準治療は全身化学療法ですが、当院では全身化学療法が無効であった症例のレスキューとして積極的にリザーバー肝動注を行なっています。

62歳 男性 大腸がん肝転移

他院で1年以上、「FOLFOX」や「FOLFIRI」などの全身化学療法を施行され肝転移がコントロール不能となった症例でしたが、右そけいから留置した肝動脈リザーバーより約4ヵ月間「動注FOLFOX療法」を行い肝転移は消失。現在も日常生活可能で通院中です。

動注FOLFOX療法

進行性大腸がんの標準治療として現在最も普及しているのは、「FOLFOX」という全身化学療法ですが、当院では「FOLFOX」で使用する抗がん剤の一部を肝動脈リザーバーから投与する「動注FOLFOX療法」を行っています。

72歳 女性 尿管がん肝転移

前医で全身化学療法を受けるも無効であり急速な肝転移の増大を認めて当院へ入院されました。PET検査では肝以外の臓器にも転移を指摘されました。

GEM-FP療法

当院で肝動脈リザーバーからの動注療法(GEM-FP療法)を行い、1年後にはすべての腫瘍が消失し完全緩解となりました。現在も生存されています。

肝臓以外に存在する切除不能のがん病巣に対する動注療法

システム-iの治療は、その都度マイクロカテーテルを大動脈領域より分岐する動脈へ挿入します。肝臓以外の動脈にも挿入可能なため、切除不能の膵臓がん、大腸がん、胃がん、骨盤内のがんにも動注療法を頻回に行うことができます。患者さまの身体状況が良好であれば外来通院での治療が可能です。

(54歳男性 原発巣・肝転移巣ともに切除不能の大腸がんとして2006年11月入院)

システム-iを用いて、大腸原発巣へ上腸間膜動脈から動注療法を5回施行したところ、原発巣・肝転移巣ともに明らかな縮小を認めました。当院初診から1年4か月間生存されました。

肝臓以外に存在する切除不能のがん病巣に対する動注療法1

肝臓以外に存在する切除不能のがん病巣に対する動注療法2

巨大肝細胞がんに対する頻回分割的動注塞栓療法

肝臓の動脈が下図のように正常な形態であれば、1本のリザーバーで全体に肝動注が可能です。

巨大肝細胞がんに対する頻回分割的動注塞栓療法

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